『プロジェクト・パワー』レビュー

 強い力を持つことは誰だって一度は思う。例えば、鳥のように素早く空を飛ぶことができれば、どれだけ気持ちいだろうかと想像することがあるかもしれない。実際に、ジェットコースターに乗って高速で移動するのは楽しい。乗っている瞬間は人間の歩行速度を大きく超える。しかしながら、人間が飛ぶには大きなエネルギーが必要だ。
 『プロジェクト・パワー』はいいアイディア(考え)を持っている。パワーの薬を飲むと、5分間だけ超人的な能力を手に入れることができるのだ。使用している人間に支障がきたさないようにうまく調整されている薬品だ。パワーの薬を飲みすぎると、オーバードーズ(過剰摂取)して死に至る。これまでの超人系の物語と異なり、時間制限があるというのが魅力的だ。
 その超人的な能力は台無しになる。序盤は発火する人や透明人間が登場する。人間を超越した存在というイメージを強く視聴者に植え付ける。しかし、登場人物の警察官がパワーを服薬すると、ただひたすら硬くなるのだ。最初のイメージとは裏腹に、地味な能力だ。その傾向は映画の終わりまで続く。
 映画の大部分では能力が役に立たない。結局銃で戦うことが多い。さらに、銃に勝る能力がなかなか出てこない。ゴム人間のように体が柔らかくなったり、硬い骨が人間から出てきたりする能力を見ると、ちょっとがっかりする。能力者同士が能力で戦う場面が圧倒的に少ないのだ。
 『プロジェクト・パワー』は大衆受けに注力しすぎている。物語は家族愛がテーマなのである。だから、能力よりも家族が優れるのである。その結果、家族思いのシーンが多い。主人公は娘を探している、登場人物である少女は母親を助けようとしている、そして警察官は地元の民を救おうとしている。従って、この超人薬品は意外にも物語の副産物となるのである。
 結局ただ娘を救うために旅に出る男の物語になっている。申し訳程度のパワーを駆使して物語は進んでいく。別に能力がなくても物語は進んだんじゃないかと思えるぐらい途上人物らの能力は地味だ。

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