短編としての出来がいい『ブラック・ミラー』二話目

 『ブラック・ミラー』の二話目は『1500万メリット』という意味不明なタイトルを採用している。この1500万メリットというものを手に入れると、この世界のアメリカのオーディション風番組に出演できるようだ。今回のエピソードは前回のように一つの国家を巻き込んだものではなく、どちらかというと個人に焦点が当てられている。閉ざされた空間なので、外の世界を大きく変える内容ではない。つまり、物語の内容はすべて一つの建物の中で完結するのである。
 今作は視聴者の気持ちを弄ぶ。狭い空間に置かれている主人公たちは自転車の機械に乗ってポイントを稼いでいる。管理された空間の中で彼らはずっと生きていくのだ。そこからの抜け道の一つとして用意されているのが、本作のオーディション番組への出演だ。主人公は気に入った女性にそのオーディションの出場権を譲渡する。しかしながら、その女性(ヒロイン)は審査員に気に入られたものの、アダルトビデオの出演者として採用される。それに伴って、主人公は、反発するかのように、ポイントを再び稼ぎオーディション番組に出演しようとする、という凡庸なお話が続く。
 平凡のその先には面白さが待っている。オーディション番組に出演した主人公は閉ざされた空間の真理にたどり着こうとする。彼は自殺をほのめかし、熱狂的なスピーチによって審査員を驚かす。そんな彼に審査員が起用しようとしたのは、審査員の一人が所有する番組内で怒りの感情を露にするキャラクターである。主人公はあっさり、それを受け入れ出演を果たす。反発する側であるはずの主人公は悠々自適な生活を送ることになる。そんな生活を手に入れた彼は反対する側であるはずなのに、反発される側に容易に回ってしまう。
 結論を見るとなんとも言えない気持ちになる。劇的なエンディングはない。落ち着いた結末が待ち受けている。後味も悪くない。一話のように露骨に大衆を狙ってもない。それは純粋で面白いお話になっている。ただただ我々の欲求を解消しようとするエピソードではない、宙づりのラストだ。

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