『攻殻機動隊 SAC_2045』レビュー

 今回の攻殻機動隊はポップな、あるいは大衆的な、作品に仕上がっている。対象年齢が前作より低くなっているためか、グロテスクだと感じることは一切ない。まるで、RPGのゲームのキャラクターがダメージを受けているような状態だ。実際に、本作はCGを使用しているため、ゲームっぽい映像にはなっている。しかしながら、これはゲームではなく映像作品だ。それゆえ、ゲームっぽくして子供を含めた大衆受けを意識している。
 今作は概念としてのポスト・ヒューマンではなく、名前としてのポスト・ヒューマンを使っている。人間以後だから、人間ではないなにかである。だから本作に登場するやつらはポスト・ヒューマンだという安易な表現を本作では用いる。それは、概念的には、キャサリン・ヘールズによるサイボーグ論とは大きく異なる。今作のポスト・ヒューマンはイメージ通りのターミネーターのようなサイボーグになっている。
 『1984』をポスト・ヒューマニズムで分析しようとするという試みは面白い。今更『1984』を分析すんのかいというツッコミはさておいて、『1984』をポスト・ヒューマニズムで分析するのは新しい。ビッグ・ブラザーによる支配を近未来化し、それを比喩的に描いているのも納得がいく。ビッグ・ブラザーをポスト・ヒューマンに仕立て上げているのかどうかという結論までは本作は導いていない。その結論は続きでわかるのだろう。
 『攻殻機動隊 SAC_2045』はおすすめできる作品ではない。12のエピソードで構成されている本作は視聴していてドキドキしない。物語として面白くない。『ストレンジャー・シングス』のほうが面白いからそっちを見るべき。『ストレンジャー・シングス』に習って、毎回次のエピソードが気になる終わり方をしてほしかった。

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